「出版の就活、正直意味わかんないっす。なんで受かったんですか」
去年、OB訪問で仲良くなった出版社の先輩に、酔った勢いでかなり失礼な質問をぶっこんだことがある。
大手と言われる小学館・集英社・講談社は、ESだけで各社4000通以上が集まるらしい。
その中から、受かるのはたったの数十人。
本当に受かる意味がわからなかった。
その人は、ううんと考え込んで、慎重に言葉を選びながら、こう言った。
「正直、なんで受かったかはわからない。最後はやっぱり、運なんだよなぁ。
一緒にめちゃくちゃ頑張ってた友達が落ちていくのを見て、複雑な思いだった。
でも一つ言えるのは、準備がめちゃくちゃ大事ってことかなぁ。」
「ES4000通とかいうけどさ、あれは結局記念受験も多いわけで。
本気で準備をして考えて選考に臨む人は、体感だけど、多分100人くらいじゃないかな。
だから三次面接以降は結構同じ顔ぶれになりやすい。あいつこの前も見たなって」
「まぁ、結局最後は運にしても、まずは準備しまくって、“100人のガチ本気軍“に入らないと始まらないんじゃない?」
うーん、なるほどなぁ。
そこからいっきに酔いが冷めて、その先輩と一緒に準備する計画を立てていったわけでありました。
というわけで、出版社を受けるにあたって、何をしていたかを整理してみます。
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・自己分析
・企業研究(作品を読む)
・企画(やりたいことを整理する)
・情報収集(働くリアルなイメージを掴む)
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★まずは自己分析
はじめてESを書いてみたとき、志望動機の欄にふわっと「本が好きだから今後も関わっていきたい」みたいなことを書いたら、「アホなの?」と先輩に言われた。アホです。
これだと、「本が好きなら今後も読者として楽しめばいいでしょ」とつっこまれて終わりだ。
就活が本格化する前に、ちゃんと、
「本を通じて何をどうしていきたいんだっけ?」
みたいな根本の価値観のところを掘り下げておいたほうがいいと思う。
詳しいやり方は以下でまとめてみた。 ↓
be-san.hatenablog.com
★企業研究(作品を読む)
ES公開までは、可能な限り様々な作品を読む。自分が関わりたい分野のものをまずは中心に。(例えば少女誌志望ならりぼん・なかよし・ちゃおを読みまくって違いをまとめてみるとか)
視点は3つ。
①自分の好きな作品を読み返してなぜ好きか整理する
→好きなものを挙げていくと、あぁ自分はこういう系統のものが好きなんだな、この作家さんの世界観にめちゃめちゃ影響受けてるなとか、そういうのがわかってくるはず。
→逆に、「嫌いだな」と思う作品は、「なぜ嫌いか」も説明できるようにする。
例えば私は、恋愛少女漫画だと「もともと可愛い主人公がいて(しかもちょっとドジで天然)、タイプの違うイケメン2人が言い寄ってくる」みたいなやつが本当に嫌いなんですけど、まぁ理由は察してください。
逆に女の子が一生懸命ハントしにいくのは好きです
②過去や最近のベストセラー、名作を読み返して何故流行ったのか評価されたのか、自分の意見を整理する
→これに関しては、新たに読みまくるとほんとに時間が足りないので、まずは自分が過去に読んでみて刺さったもの、あとは最近でほんとに話題になってるものに絞ってみてもいいかと思います。
→ある会社の人事の人が「“どれだけ読んでるか“、ではなくて、“どんなふうに読んでるか”が大事」と言っていて刺さりました。たしかに、学生の知識なんて面接官の社員に比べたらたかが知れてるし、その知識量読書量で背伸びせずに、自分なりにしっかり考えて意見を言えるのが大事なんだなぁと。
③受けたい出版社のサービスをチェックする
→ちょくちょくHPをのぞいて、最近力を入れてる事業とかチェックしたり。あとは、各社のマンガアプリとかを片っ端からインストールして比べてみるとか。
★企画=「自分の作りたい本・雑誌」「やりたいこと」などを整理する。
漠然とでもいいので。3本くらい実際に企画を考えてみるのがオススメ。
→自分はこの作家さんが好きだから書いてもらいたい、ではなくて、
「この作家さんはこの表現が本当にうまくてこういう魅力がある。
でも今までの過去作品ではこのテーマをまだ書いていない。
だからこそあの作家さんにこのテーマで書いてもらいたいんです」
というように、
「テーマ」「作家」「その作家にそのテーマで書かせたい理由」の3点が必須。
★出版で働くことの、リアルな情報やイメージを掴む。
→出版社とかマスコミって、世間のイメージと仕事の実態の乖離が激しい仕事なので(華やかに見えるけどかなり地味、とか)、可能な限りリアルな仕事の様子、どんな人が働いているか、その他、社風、業績、戦略などを、人に聞くかネットや本などで集めてイメージと覚悟を持っておく。
→実際面接でも、「あのさー、『本が好きです、出版に憧れてます』で受けに来る人めっちゃ多いんだよね。それはいいんだけどさ、実際の仕事イメージできてる?」とキツめにつっこまれたことがありました。こええ。
→そういう意味でも、OB訪問はめちゃ大事。のちのちそれについても他記事でまとめます。
↓
実際に参考にした本…
・『出版社合格への道』→出版の選考の、ESや企画具体例とか見られてるポイントとかあって参考になる
・『創 2017年5・6月号』『編集会議 2015年秋号、 2016年春号、2016年秋号』→現在の出版業界全体の傾向や話題、編集者が何考えてるかを知ることができる
・『就活でどうしても会いたい編集者20 人へのOB・OG訪本』→出版就活生に向けて、やり手の編集者達の思いやこだわりなどが語られてておもろい。
佐渡島庸平さんとか
・『
青い鳥文庫ができるまで』→
講談社の人事の人が就活生におすすめしていた本。一冊の本を世に出すまで、編集者はどんな動きをしているのか、作家さんやデザイナーさんや取次の人など各方面にどんな働きかけをしているのかなどがわかる。
まとめ
・自己分析
・企業研究(作品を読む)
・企画(やりたいことを整理する)
・情報収集(働くリアルなイメージを掴む)
という感じでしょうか。いろいろあるな〜〜
筆記や面接などに関しては、また後日まとめます